今日よりも明日
2011.3.29.
東日本大震災被災者の方々と、そのご家族に対し、心からのお見舞いを申し上げます。
久々のブログの更新、話題満載のはずが、、、ただただ言葉を失う状態が続いていました。
「液晶テレビの向こうに現実を置き去りにしている」という被災地の町長の言葉が、頭の中に焼き付いており、今も離れることはありません。
普段から「喜怒哀楽は人生を豊かにする」と思い、そのように過ごしていたつもりですが、今回だけは哀しみが全てを飲み込んでしまいました。地震発生の一週間後に、やっと被災地の友人と連絡が取れ、何か言おうとしましたが、言葉が詰まってしまい「良かった、良かった」と繰り返し言うことしかできませんでした。原発に関しても、未だに情報が錯綜する中で、誤った風評を自ら発してしまうのではないかと、ツイートを含めて、改めて言葉の難しさを痛感しています。よって書いては消し、また書いては消す。その繰り返しが続いていましたが、今年最初のブログを、復興へ向けての新たなスタートとして再開したいと思います。
この現実に直面し、改めて「想像力」というものを感じました。
「想」という字は、「相」と「心」の組み合わせであり、「相」は生い茂った木の姿を見ることによって、見るものの生命力を盛んにする“魂振り”(活力を失った魂を再生すること)の儀式をいい、他の人のことを「心」の中におもい浮かべ、おもいやることが「想」。よって想像力とは、人を想い、それを「像」=「すがた/かたち」にする力のこと。まさに再生、甦ることが「想像」することなのです。
これはまさにデザインの力でもあるのですが、、、「想像」を絶する大災害を前に、正直何もできない自分に苛立ち、言葉を失ってしまうのです。今も風評が花粉のごとく舞い、水や食料、ガソリンの買い占めも起こりました。会社が計画停電地域であり、これがいつまで続くのか、今後も不安は拭いきれません。
しかし、いつまでも下を向いてはいられません。
「想像力」を「創造力」に変えなければならない。創造とは新しく作り直すことであり、以前のような美しい海岸線と生い茂った緑の自然が戻り、元通りに人が住めるような町を創ること。そのために自分達ができることを10年、20年、30年〜と続け、美しく活力ある日本を創造する。それには想像力、すなわちデザインの力で復興に貢献することが、日本を愛する自分に与えられた仕事だと思っています。まさにこの力の結集が復興であり、真の「グランドデザイン」なのだと思います。
今も被災されている方々のことを想うと「元気を出して下さい」などと軽々しく言うことを躊躇してしまいます。しかし想像力を持って、より良い未来を創造し、一日でも早く安全な生活環境の確保と心の安心を取り戻すことを願い、復興に向けてデザインという職能を活かし、モノ作りで人を幸せにするという原点に戻り、「今日よりも明日」という言葉を叫びたいと思います。
最後に、卒業生の皆さんへ
「震災直後は復興に向けて、これからが本当の試練かもしれないと沈黙していたけれど、こうやって話をしていると、次第に吹っ切れた感じがしてきた。やるしかないってね!
とにかく僕にとっても皆にとっても新しいチャレンジになる時代を共に歩んで行こう!この道はとても険しいかもしれないけれど、自分の歩んだ道端には必ず花が咲くだろう。そしていつか、それぞれの歩む道がどこかで繋がった時、美しい花の咲く緑の大地が甦っていることだろう。皆の幸せを心から願っています。」
次回は新聞記事にもなり、先日はTV出演もあった「話題の?」モノ作りを紹介いたしますので、ご期待下さい!