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Designer's Blog  2008

What a wonderful “Design” world!

デザイナーズウィーク2008
2008.11.2

photo.jpg 先日のアップルストア銀座での講演は、ほぼ満席ということで、ホッと一息。とにかく来て頂いた全ての方に感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
 
 そして木曜日から「東京デザイナーズウィーク」が始まった。神宮外苑のいちょう並木を抜けると絵画館前の特設会場に到着。昨年は赤坂アークヒルズ カラヤン広場での展示だったが、出展経験者ということで、今年は神宮メイン会場内の「100% From Zero」へ出展となった。
 まずは昨年出会ったデザイナーの方と一年ぶりの再会に感激。堅い握手を終え、お互いの作品を見せ合いながら、制作秘話や近況報告などの話が尽きない。このような出会いは実に刺激的で、また他のデザイナーの方のアドバイスはとても参考になっている。
 デザイナーとして個人の作品を出すということは、自分自身をさらけ出すことに他ならない。クライアントがいる訳でもなく、自分の作りたいモノを作る、というある意味単純なことなのだが、それは一人のアーティストとしてのセンスを問われることになる。仕事以外に自費を投じて作品を造ることは、そう簡単なことではないかもしれないが、自分の想いの詰まった作品を多くの方に知って頂くことで「いま自分にできることは何か」、そして未来へ向けて「何が自分に足りないか」を知るきっかけにもなる。
 
 作品を作る過程=自分をさらけ出すことの中には、必ずストーリーがあるものだ。今回発表した「オーガニック ケイブ チェア」は約5年程前に描いたスケッチを具現化したものである。
 当時、彫刻に惹かれていた私は、ある古本屋で「ヘンリー・ムアによるヘンリー・ムア展」という展覧会のカタログを見つけた。これは1974年に鎌倉と神戸で開催された彫刻家ヘンリー・ムアの作品をまとめたカタログである。その中にはムアが長年にわたって取り組んでいた「横たわっている人体」という名の連作が紹介されていたのであった。そこには内と外が一体となった多くの造形が描かれていたのである。
 人間を抽象化すること………それは身体(外)と心理(内)の関係をどのように捉えるかということ。外から内へ、内から外へ。内部と外部が繋がった空間を想像してみたいと思うようになった。そこから3Dの彫刻モデリングの練習が始まった。
 空間への想いが増える中で「イタリア未来派」や「表現主義」「構造表現主義」との関係を自分なりに再考してみたが、それをどう現代と繋げ、表現したらよいか分からなかった。「単なるリバイバル」「奇をてらったモノ」とだけ思われ、ある思いつきで作ったと思われるかもしれないと、レンダリングのみで終わっているものも多い中で、何か捨てきれない想いがあった。
 そんな不安を打ち払うかのように、前進し加速する姿を持った造形を描いてみたい。のんびり座るというよりも、跨(また)いで走り出すような感覚を持つ造形。その中で生まれたのが、今回の「オーガニック ケイブ チェア」であった。
 
 デザイナーズウィークは明日11/3(月)まで。3日のお昼頃にはメインテント内ステージでプレゼンテーションを行うことになった。ロンドンの展示の様子をメインにアップルストアでの講演を短くしたものだが、是非多くの方に見て頂きたいと思っている。