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Designer's Blog 2008

What a wonderful “Design” world!

プリンシプル
2008.04.10

yu-sky.jpg 「来週ミラノで合流しようぜ〜」という友人からのメールに一言“ オミヤゲタノム” と返信する今日この頃。
 当のマングローブチェアは、ミラノサローネに先駆け本日〜12日(土)まで、東京ビッグサイトで行われる「カラーセッション2008」というカラー&マテリアルの展示会に展示されている。白いマングローブチェアを春らしい色に変えてみたので、私自身見るのが楽しみだ。
 普段使っていた “コンパクトデジカメ” が壊れてしまい、携帯電話のカメラでごまかしていたが、やはり限界。新機種を色々と調べていると、雑誌「デジタルフォト」の中で、カメラマンの横木安良夫氏の言葉に思わず目が止まった。
「人間は機械に合わせるべきだ。機械が人間に合わせるなんてつまらない思想、機械をさわる喜びを捨てることになる」
 不器用ながらも昔から癖のあるモノ好きな私は、久々に聞くこのストレートな一言にノックアウト。横木氏のレビューを何度も読んだ後、この癖のあるカメラを手に入れた。
 ファーストインプレッションは、飽きのこない黒い箱。まさに羊の皮を被った狼のような中身の方は、多機能化を捨て、一眼レフに迫る画質を追求しており、非常に “ シンプル&プリンシプル ”
白州次郎の言葉で有名な“プリンシプル”とは、原理原則を守りぬくということ。
 よって今まで使っていた“オールラウンド”なカメラよりもかなり神経質だが、決まった時の画質は明らかに違うものに感じる。とにかく何よりも機械をいじる喜びがあるところが素晴らしい。
  などどミラノへ行く友人に話していると、“実はミラノサローネに合わせてカメラを新調したんでしょ”だって?
そ、そんなことは……あ、ありませんから、へ、へんな事言わんといて下さいな。ま、まったく、もう〜………
 このカメラのテストを兼ね、カラーセッション2008では、色々な色彩のモノを撮ってみたい。なに?たぶん会場内は撮影禁止かもって?
 撮影禁止というプリンシプル=原理原則を破ってでも、新色のマングローブチェアだけは、撮らせて頂きます!
(カラーセッション2008へお越しの際はKADOWAKI(カドワキ)ブースに是非お寄り下さい) 

モノからモノが生まれる
2008.03.21

螺旋状態.psd ライフスタイルを変えるような、革新的で美しいモノに出会うと、人が生み出したモノが世界を変えるとつくづく思う。自分もいつかこんなモノが作れたらなあ〜とモノから多くのものを学んでいる。
  “モノからモノが生まれる”と言ったのは、ブルーノ・ムナーリ。氏はこの著書の冒頭で“企画するのは、そのやり方を知っていれば簡単なこと”と言い切る。さらに
 “創造力とは、方法のない即興を意味するのではない”とも言う。これはまさにデザイナーへ向けての問いでもあり、老子やデカルトの言葉を用いながら、デザインの求道者として多くの作品と言葉を残している。
 著書“モノからモノが生まれる”には、企画の方法論として、身の回りにある多くの製品のデザインを取り上げ、モノの進化の過程や製造方法、改良点をも指摘する。この鋭い指摘には、ついうなずいてしまうのであった。
 ムナーリの一貫したこの批評精神は、著書「芸術としてのデザイン」の中でも多く語られており、豪華さや個人的な空想と言ったものは“デザインの問題ではない”と言い、芸術家気取りの個人的な“思いつき”や“思いこみ”を真っ向から否定する。こんな“ムナーリ先生”の姿を思い浮かべる度に背筋がピンとする思いである。
 先週から一週間、寝る間もない程の日々も落ち着き、秋のデザインイベントに出展する作品のデザインを考えているが、自分が欲しいと思う個人的な発想からのスタートなので、“思いつき”や“思いこみ”からなかなか離れられない。(これではムナーリ先生に怒鳴られそうだが)だが、この挑戦的なモノ作りの経験で得たものが、今後他者への“思いやり”のあるモノに変えられれば、いつの日か、何かの役に立つモノが生まれると信じている。しかしこの複雑なカタチを実際に作るには、どうしたら良いのか?と悩んでしまい、なかなか先へ進まない。
 そこでムナーリ先生!是非一言アドバイスをお願いいたします。
「企画の方法論について知ること、つまりモノを作ったり、認識したりする方法を知ることは、解放の意味をもつ。つまりそれは、あなた自身が“自分でやる”ということなのである。」
 何だか説得力のあるような、無いような………とにかくできるところまで、自分で作るしかないか。では3Dデータを用い、さっそく光造形の模型を作ろう!えっ?これって自分で作っていない?
もちろん3Dデータは自分で作ります〜!
 データという実体のないモノから、実存するモノが生まれていくのを楽しみにしている。

 見てはいけないモノ
 2008.03.05

PICT2493.JPG  “モノは少なく、本当に好きなモノだけあればいい”とは言うけれど、自分が本当に好きなモノって何かなあ。と思うと、いろいろと試してみないと分からないなあ。などと、衝動買いが多い自分へ向けて言っている。だから……Macbook Airなんて、見てはいけない!
 先日の徹夜作業もそうだが、出力した紙の図面を見ながら、CADで3D化を行う場合、モニターの周りが暗くなり、目がとても疲れる。その時に最適な明るさのLEDデスクライトがあるということで、バルミューダデザインの「Highwire1100」が気になっている。あのアルミ削り出しの質感に一目惚れしそうで………おっと、これも見てはいけない!
 そして東京デザインプレミオの招待が、100%デザインロンドンに決定との事。9月に行われるこの展示に合わせてマングローブチェアの改良型の制作に入る。まずは昨年出展したプロトタイプを修正し、その後成長した(背の部分が伸びた)新型の制作に入る予定だ。
 掃除中、何気なくマングローブチェアを和室に置いてみた。すると帯が絡み合ったような白いマングローブチェアが、水平垂直のきっちりとしたモジュールに実に良く似合う。和室に合うモダンなイスとして、リートフェルトのRed&Blueがあるが、趣はかなり違うにしろ、畳にイスという違和感はなく、まさに床の間の“いけばな”のような感覚………。
 これこそ、見てはいけないモノを見てしまったよう
な気がする。それ以来、畳の上でマングローブチェアの成長した姿を思い描く日々が続いている。