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Designer's Blog  2008

What a wonderful “Design” world!

健康なカタチ
2008.08.29

オーガアップ.psd 雷雨の中、びしょ濡れで帰宅。ここのところ急に涼しくなったり、また暑くなったりで、風邪をひいてしまった。喉が痛くて、朝の声は“森進一”状態………。
体が弱ると集中力も鈍り、良いアイデアも出て来ない。という訳で、つくづく健康第一を痛感。
 そんな時、マングローブチェアの英文カタログに使用する翻訳が上がって来た。このカタチに込めた想いが伝わるように、以前ロンドンに住んでいた知人のジュエリーデザイナーに翻訳をお願いした。
作品への想いを確実に汲み取り、とても美しく翻された文章を見て感謝感激!おかげで気分も良くなり、風邪の具合もだいぶ良くなってきた。
  昨日、ロンドンへ送るマングローブチェアの梱包を終え、続いて10月末に行われる東京デザイナーズウィークへ出展する作品の制作打合せを行った。
  昨年出展したマングローブチェアは、植物の根や枝の様に複雑に絡み合い、継ぎ目の無い造形をどうしたら実現できるのかと悩んでいたところ、高度な板金溶接技術を持つ職人さんと運命的に出会い、試行錯誤の末に実現できた。来月のロンドンでの反応が楽しみで、日に日にテンションが上がっている。
 以前アップルのプリントサービス「フォトブック」で制作した、誰にも見せない秘密の作品集がある。そこにはまだ実現していないデザインが多く載っており、この中から毎年1つずつ実現していくことが、デザイナーとしてのモチベーションに繋がり、また実験を兼ねた大きなチャレンジとなっている。
  昨年発表した植物のような造形から、今年は対照的に動物の身体=肉体のような造形の作品を選んだ。オリンピックで見た水泳選手の身体のように、しなやかで引き締まった筋肉を持つ “ 健康なカタチ ”をイメージしたイスの制作が始まった。  
 健康の「健」という字は、外から乱されることがなく、拠点が守られている状態を表す。それで健は「すこやか、たけし、つよい」の意味となり、「康」には「やすらか」の意味がある。
  すこやかでつよく、やすらかに人を包み込む“健康なカタチ”に、今回はチャレンジしてみたいと思う。それにはまず、自分が健康にならないと………健康第一!まずは風邪を直しま〜す。 

デザインQ&A
2008.08.15

eames2.jpg お盆休みに入り、やっとこさロンドンの準備開始。一ヶ月後に開催されるデザイン展へ招待出展という訳で、基本的には仕事だが、初めてのイギリス行き。
やはりあそこには行ってみたいなあ〜。といろいろと調べ始めると、仕事そっちのけでスケジュールを組んでいた。お〜っと、いけない。とにかく航空券だけは確保した。
  そして連日の猛暑だが、オリンピック選手の戦う姿に刺激されたのか、何だか妙に汗をかきたくなる。よってさっそく新車(自転車)に乗って、近くのスタジアムに行き、周回道路を5周程走り、帰り際にインテリアショップに寄り、家具を見ながら涼むというのが、最近の休日パターンとなっている。
 そんな中、イームズのDVDボックスを見つけた。チャールズ&レイ・イームズ夫妻と言えば50〜70年代の通称「ミッド・センチュリー・モダン」デザインの象徴的な存在であり、多くの名作(中でも椅子)を生んだ巨匠だが、チャールズ・イームズ生誕100年を記念して発売された4枚のDVD作品集には100本を超える短編映像が収録されていた。 
 芝生に寝ている人の姿から始まり、宇宙のスケールへズームアウト、今度はミクロのスケールまで一気にズームインするという壮大な空間のスケールを見事に表現した短編映像「パワーズ・オブ・テン」は特に有名で、私自身何度も見た事があるが、今回収録されているイームズの映像作品は、初めて見るのものばかりで、今見ても新しい映像表現の宝庫であった。 
 アスファルトの上を水が流れるだけの映像とバッハの音楽が心地良い「ブラックトップ」、IBMからの依頼で制作した数学を題材にしたアニメーションの数々、ハーマンミラー社から発売された家具の製造行程や輸送、組立方法を解説した映像など挙げればきりがないが、これら全てが40〜50年前に制作されたとは思えないクオリティの高さに、ただただ驚くばかりである。
 この中で「デザインQ&A」というチャールズ・イームズへのインタービュー内容を紹介したい。

Q:デザインの定義とは何ですか?
A : ある目的を達成するために必要な要素を組み立
   てること。
Q:デザインとは芸術表現ですか?
A : 目的の表現と言いたい。それが優れていたら、
   後に芸術とみなされる。
Q:デザインにとって制約は?
A : 課題に限界があると?
Q:デザインに倫理は?
A : デザインの制約の多くは倫理を含む。
Q:デザインは誰のためのもの?最大多数の人々?
   専門家、または知識のある素人?それとも特権
   階級の人々?
A : デザインは必要とする人のものだ。
以上非常に興味深い質問が続くが、以下最後の質問
Q:デザインの未来は?
A : ………
  この答えは、自転車にでも乗りながら考えることにしよう。まず自分に何ができるかということについて。そしてデザインを必要とする人のために……

 趣味悠々
 2008.08.2

photo.jpg  Mac3台使用中(レンダリング中)に趣味の話。
  先日、卒業生の I 君が自転車(ロードレーサー)に乗ってやって来た。フレームがアルミとカーボンのハイブリッドという最新のもので、片手で持ってみたら“かる〜い” 乗り心地も“いい感じにやわらか〜い”という好印象。“御主、できるな”という感じ。
  “まあ、僕のは古いし重くて固いけれど、イタリアの荒れた路面にはバッチリだったよ〜”などと8年前のイタリア自転車旅行の話を持ち出し、精一杯意地を張るが、新しモノ好きの性か?ライバル心を刺激され、自転車熱が再燃しそうな予感が…………。
  という訳で、家の近くのロードレーサー専門店の前を通る度に、ガラス越しに中をのぞく日々が続いていたが、暑さ&徹夜明けでぼーっとした帰路、専門店の前で突然脚が止まり、無意識にガラス越しへと向かう。ふと気が付いた時には、店の扉(&心の扉)を開けていた。
  結果、黒いフレームにゴールドのハンドルが付いた「チョイ悪」風な自転車を押しながら帰り、その後すぐ爆睡。
  今回購入したのは競輪用の自転車を元に、ブレーキを付けただけのピストバイク。昔ながらの細いスチールフレームに、これまた細いハンドル、最少のパーツという簡素な作りが美しい。重量は8kg程だ。
 早速の慣らし運転、張り切り過ぎて5分で脚がつるが、その後徐々に勘が戻る。いや〜、いい気分。汗を垂らしながら、途中スタバに寄り、窓際からiPhoneのカメラでパシャ!。これもいい気分。この調子で近々、自転車通勤再開を目論んでいる。
  “ジャン・ボードリアールの言葉に、「趣味とは、自分が何を持っていないかを知ることだ」というのがあります。 これは名言だと思うんですね。つまり、デザイナーとしてモノを作りだすには、自分に足りないものを知らなければいけない。いろんな物に興味を示すことで、自分には不足していることを最も自覚することができるんです。 ”
(OCN アートジェーン 川崎和男氏のブログより)
  “興味を持った一つ一つのことに熱中していけば、その時は散らばっている点のような別々の存在が、将来にはつながり合って、すばらしい一つの大きなものとなる”
(神の交渉力  スティーブ・ジョブズの言葉より)
  一度ハマったら、もう止められないのが趣味の世界。こうしてモノから多くのものを学び、その刺激がまた自分(のモノ作り)を奮い立たせてくれる。これはとても幸せなことだと思う今日この頃であった。