人の想いをかたちに
2008.01.13
起床後、すぐエスプレッソマシンの電源を入れる。圧力が上がるまで、少しの間待ってから一気にコーヒーを抽出。その後ミルクをスチームし、熱いカフェラテを飲み、しっかり目を覚ましてから通勤。こんな規則正しいことが、新鮮に思える正月明けの第一週目だった。
今年初めの作業は、動物のイラストのデザイン。CADや3DCGソフトから離れ、終日グラフィック作業だが、最新版のイラストレーター&フォトショップCS3は、ツールパレットがシンプルにまとめられて、とても使いやすくなった。昔のような直感的な操作感に戻った感じ。そう、昔のような………
ここのところ昔のモノ作り、特に美しい工業製品の生まれた制作環境にとても興味がある。
「人の想いをかたちに カーデザインをささえた半世紀」という書籍を読み、改めてモノづくりは人づくりだと思った。作り手の情熱がモノには必ず表れる。それは今も昔も変わらないものだと感じる。
著者の石井誠氏は自動車メーカーのマツダの初期モデラーで、デザイナーが描いた絵をもとに、クレイ(工業用粘土)を使い、多くの車のモックアップ制作に関わった方である。
モデラーとしてデザイナーのスケッチの中からその意図を読み取り、立体化する作業の中にはさまざまな工夫と挑戦があり、初期の自動車作りを支えた方の生きた言葉は、まさにその躍動感溢れる現場が、目の前に広がってくるようである。
戦後インダストリアルデザインの草分けとして、多くのマツダ車のデザインに関わった小杉二郎氏やイタリアの名カロッツェリア、ベルトーネ社のデザイナーだったジウジアーロ氏などのエピソードも含む「デザインを教えてくれた名デザイナーたち」という章の中で、多くのデザイナーとの出会いを語られている氏の言葉がとても印象的だった。
「最近、コンセプトだとか方向性だとか、デザインに説明が増えているのには疑問を感じます。いいデザインに説明はいらないと思っているんです。モノが語るんですから」
「あなた考える人、わたしつくる人、という意識で仕事をしていては、出来上がるのは一体感のない、バラバラなものになってしまいます。それでも商品はつくれます。だけど本物志向のしっかりしたものづくり、息の長いブランド力につながるようなものづくりはできない。わたしはそう思います」
モノが語る……今取り組んでいるプロジェクトは、まさにこうありたいし、連帯感と責任感が同居した、緊張感溢れる中でのモノづくりは、実にエキサイティングだ。常に自分もこうありたい。
通勤途中、家の近くの駐車場にあるグリーン色の車のデザインに目が止まる。いいスタイリングだ!近づいてみると、それはマツダのデミオだった……
石井イズム、ここに健在!
Let's sketch!
2008.01.05
新年あけましておめでとうございます。
風邪も治り、大晦日は年越し蕎麦に出かけ、そのまま年が明け、1/2は恒例の歌舞伎を見に行った。そして残りはのんびり。年末に買い貯めた本とDVDを見て過ごした正月休みも今日でおしまい。
その中で書籍「コズミックモーターズ」の美しい架空の乗り物のデザインに釘付けとなった。旧東ドイツ出身のカーデザイナー、ダニエル・サイモンの描いたスケッチと超リアルなCGに、大いに刺激を受けている。
私の好きな映画「ブレードランナー」に登場する近未来都市のビジュアライゼーションを担当したシド・ミードのスケッチに憧れていて、今でも時々作品集を開くことがある。そしてカーデザイナー出身のシド・ミードがこの「コズミックモーターズ」の序文を書いていることも興味深いものがある。
昔から乗り物好きでバイクと自転車にはハマったのだが、車はもっぱらレンタカー。それでも車のデザインは好きで、自動車関係の仕事に関わる時はワクワクする。マングローブチェアも自動車板金の職人さんに制作をお願いし、塗装もバイクなどのカスタムペイントを得意とする会社にお願いをした。よって「カースタイリング」などのカーデザイン誌も良く読む(自動車以外のデザインも多く載っているプロダクトデザイン誌である)。
先日、知人に書籍「VW Designs」が出たことを知らせると “ VWってフォルクスワーゲンのデザイン? ” と勘違いされてしまった。後で自動車関係のブログで「VW Designs」が、VW 繋がりで車関係のサイトで紹介されているのを見つけた。違うのだけれど何となく嬉しかった。
これらがきっかけで、自動車デザインの書籍やブログをいろいろ調べてみると実に面白い。特にイタリア車のデザインエピソードは、モノづくりのロマンが満載だ。う〜ん、ハマったらどうしよう………
カーデザイナーの描く美しいスケッチのようにはいかないが、とりあえず架空の世界の乗り物を描いてみたい!さっそく、買ったばかりのイタリア製のボールペンでスケッチ、その後デジタルモデリング開始!
「コズミックモーターズ」のおかげで SFと乗り物熱が再燃し、また新たな目標ができた。
「Let's sketch!」
今年も宜しくお願いいたします。