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Designer's Blog  2009

What a wonderful “Design” world!

ウォズの魔法使い
2009.2.12

org icff.jpg 最近ふとデジタル式の時計を見ると、すべてぞろ目!!というのが実に多い。(11:11とか3:33とか)
よって何となく良いことがありそうな………今日この頃。

 1月は少し慌ただしい日々が続いたが、落ち着いた今は、新作家具の制作と展示準備に追われている。
 新作はユニット式のシェルフ。職人さんが「ああだ、こうだ」と言いながら制作している姿を想像しながら、カタログのデザイン、写真の撮影などを行っている。これは本当に楽しいことで、4〜5月に行われる海外での展示がとても楽しみだ。

 さて、感動のモノ作りに関する書籍の第二弾は「アップルを創った怪物」である。
アップル創立者の二人のスティーブと言えば「ジョブズとウォズニアック」。ジョブズの波瀾万丈の人生とアップルの歴史についての書籍は多数あるが、それに比べ、ウォズニアックに関する記事や二人の関係に焦点を当てたものはとても少ない。それはウォズニアック(通称ウォズ)自身が、内気で控え目であったことも関係していると思うのだが、その内容のほとんどが事実ではないとのことで、「そろそろ言ってもいいかな〜」という訳で、ウォズ自身が編集者のインタビューに答え、書籍化したものがこの「アップルを創った怪物」だ。表紙には「赤いりんご」をかじる「ウォズの怪物」……いや、「ウォズの魔法使い」がいるではないか!
 これはアップル創立者の1人であり、伝説の天才エンジニア「スティーブ・ウォズニアック」の自伝とも言える書籍であり、そのやんちゃぶりとモノ作りへの情熱に大いに刺激を受けたのであった。

 この書籍を読むとコンピューターの歴史をある程度知ることができる。特有の用語も少なく(あっても丁寧な解説がある)、まさにユーザーフレンドリーな内容で、1970〜80年代初期の時代背景とパソコンベンチャーの淘汰の歴史があったことが分かる。その中でマウスやカラーディスプレイ、そしてGUIという現在のパソコンの原型を創ったアップル創明期の様子、パソコン誕生の瞬間や新しい時代の予感に次第に引き込まれていく。
 アップルを去った後のウォズの歩んだ道もまた新鮮で、映画館のオーナーになったり、飛行機事故で一時期記憶喪失になったり、大規模なロックコンサートを企画し、実現(大赤字だった)したりという話を聞くと、ウォズ自身も十分、波瀾万丈の人生を歩んでいることが分かる。

 最近はタブレット型のマックの紹介などで人前に現れたウォズだが、そのユーモア溢れる人柄もさることながら、彼の言葉は「技術が云々〜」ではなくて、世にないモノを作り、人を驚かせたり、新しい体験を通して喜んでもらうのが何よりも好きという印象がある。これはとても大切なことで、現在のアップル製品にも通じる哲学だと思う。

 書籍の最後に「人生の法則」として、ウォズは次のように述べている。
「グレースケールで物事を見る」……大半の人が、白か黒かという考えしかできない。白と黒の間にあるさまざまな濃さのグレーの中にこそ、多くのアイデアが詰まっている。
「一人でやれ」……画期的な製品や機能を生み出せる可能性が一番高いのは、一人で仕事をするときだ。周りの人を説得する必要はない。自分の直感、自分の理解を信じることだ。

「自分はラッキーだった」という天才の言葉を聞くと「言うは易し、行うは難しだよなあ」と気が抜けてしまい、仕事中にうとうとしていると、夢の中に「ウォズの怪物」が出て来て、耳元で一言……「一人でちゃんとやれ!」
ハッと目が覚めたのであった。