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Designer's Blog  2009

What a wonderful “Design” world!

こわれもの
2009.4.2

photo.jpg 木箱に押された“こわれもの注意”の赤い「FRAGILE」の印。これら全ての展示物の梱包&発送を終え、がらーんとした部屋にいると、何となく寂しさを感じる今日この頃。

 いつも机の上に本が積んである。何か気になるとすぐ手に入れてしまい、次々と上に乗せてしまうので、読んでいる途中や読んでいない本が下の方に溜まっている。そんな中、ふと下の方にあった読みかけの本を思い出した。
ルイス・トマスの「人間というこわれやすい種」である。
ちなみに原題は「THE FRAGILE SPECIES」。まさに人間という生命体も“こわれもの”なのだ。

 著者のルイス・トマスは1913年ニューヨークに生まれ、医学者として主に生物医学の研究に携わり、後年はガンセンターの所長を務めながら、メディカルエッセイストとして活躍した人物である。
そして著書「人間というこわれやすい種」は、バクテリアと人間の共通性から始まり、医学の歴史、脳、エイズ、薬物中毒、老化と健康、核問題、言語の秘密に至るまで、現在も続く多くの諸問題を、筆者ならではの視点で述べている。そしてこれらの言葉に共通するのは「この地上に現われた生物として、人間は最も若く、未熟で、過ちを犯しやすく、失敗をしやすく、こわれやすい種なのだ」ということであった。

「私たちはみな、遅かれ早かれ死ぬだろうということを知っている。生活習慣を変えることによって死を先送りできる、とにかくごまかすことができていると考えている。病気や死と結びつきを保ちながら“ライフスタイル”という言葉が生まれた」
トマスのこのような言葉を聞くと「私(あなた)のライフスタイルは〜」などと軽く言うことにためらいを感じてしまう。とにかく「ライフスタイル」とは、「死へ向かって生きる人生そのもの」なのかもしれない。
などと考えながら次のページをめくると「言葉よりも学ばなければならないことがたくさんある」とトマス先生に言われてしまった。

 これらの“言葉”に大きくうなずいている最中、机の上でガラガラと鳴っていた外付けハードディスクがこわれた。「人間というこわれやすい種」が作ったモノだから、突然こわれるのも当然などと納得しそうになったが、「自分のライフスタイルは、失った500GBのデータを作り直すこと」になるのだけは避けたいと思い、他のマシンにもハードディスクを取付け、自動バックアップ機能のTime Machineの設定を行った。

 先日のお花見は、寒いながらも大勢の方が集まり大宴会。翌日の卒業式では、自分のクラスの卒業証書の授与を行った。そしてこれから自分自身の海外輸送(出張旅行)の準備に入る。しかし「人間というこわれやすい種」の輸送は「こわれモノ」より断然安いんだなあ〜。大切に扱ってもらうためにも、自分の身体に赤い「FRAGILE」の印でも付けて行こう!

 ちなみにサグラダ・ファミリア(ペーパーモデル)の建設は全く進んでいない………。