無知は幸福!?
2009.4.17
いま話題の「結晶洞窟」の映像を見て、「お〜、スーパーマンの家がついに公開されたか!」と絶叫している今日この頃。
今週はまさに「人間はこわれやすい」ということを、自ら体験することとなった。というのも、週末から風邪をひき、ほぼ4日間寝込んでいた。イタリアへ行く直前になって、何もできずに焦っていると「もしかしてインフルエンザ?」などと不安ばかりが頭に浮かんで来る。ちょうど結核菌のことを調べていたので、さらに「深読み」という気の病に侵されていく自分の弱さに滅入り、また熱が出てしまった。
するとまた………ルイス・トマス先生の言葉が聞こえて来たのである。
「人間というものは、自分の無知を知らない限りは幸福にやっていける。しかし、私たちが何かを知らないということを知ったとき、それは我慢のできないものとなる」
“なるほど。貝類が特に苦手だから、イタリアのおいしい(と言われている)魚貝系料理が口に合うかが不安で(もしお腹をこわしたら)ダメだということを知ったときには、トイレに我慢ができないということだな………”
こんな「浅(はかな)読み」はさておき、5日目にやっと熱も下がり、外へ出れるようになったが、まだ病み上がりなので、夜の予定は全てキャンセルし、旅立つまでの間はじっと静かに過ごすことにした。
さて、今回ミラノサローネに行く理由は、友人のデザイナーユニット「shimashima」が、サローネサテリテに出展することになったからだ。サテリテとは、審査を通過した35歳以下の若手デザイナーを集めた場所であり、世界中から若い才能が集まる話題の展示会である。今回は展示のセッティングの手伝いを行いながら、他のデザイナーの作品をじっくり見てまわり、リサーチを兼ねてミラノサローネの雰囲気を楽しもうと思っている。
そして翌月5月のICFF(ニューヨーク国際現代家具見本市)には、「TEKO Designブース」としてメイン入口最前列にブースを持つ。ここでは新作のシェルフ、グリーンとピンクのMangrove Chair、Organic Cave Chairの4点を展示する。当初新作はミラノで初展示と思っていたのだが、今回のニューヨークに自身の作品を集め、展示することに意味を感じ、決断したのであった。
とにかく人間は「自分の無知を知らない限りは幸福にやっていける」かもしれないが、「何かを知らないということを知ること」で、また新たな「知らないこと」に出会い、我慢ならず行動してしまうもの。この終わりなきものへの興味、上と下、右と左、表と裏が反転し、入れ替わりながら続く「メビウスの帯」を歩くような人生の中でもまれ、つまずきながらも、自身のライフスタイルをデザインしていくつもりだ。
するとまた………聞こえて来たのである。
「そんな能書きはどうでもいいから、まずは自分の健康管理の無知を反省しろ!」
“あっ、はい、トマス先生!それでは気をつけて行って参ります!”
そう言えば、ミラノ前に(風邪をひいたことで)知ったことが1つある。それはやはり、サグラダ・ファミリア(のペーパーモデル)は、永遠に完成しない運命なのだということを………