BiNDweb

Designer's Blog  2009

What a wonderful “Design” world!

イタリアの街
2009.5.11

ジェノバ.jpg イタリアの旅の続きである。

 サローネの会期中、一時ミラノを離れ、列車に乗って港街ジェノバと古都トリノを訪れた。

 太陽が降り注ぐ晴天のジェノバは、クリストフォロ・コロンボ(コロンブス)生誕の地であり、イタリア最大の貿易港である。地中海性気候のこの地域はミラノよりも暖かく、日中は半袖で良いくらいであった。
 パステルカラーの建物に囲まれた細い路地を抜け、歴史的な建造物やヨーロッパ有数と言われる水族館を訪れた。夕方はケーブルカーに乗り、丘の上から見た海沿いの古い町並がとても美しく、しばし時を忘れ、ぼーっと景色を眺めていた。(ジェノバ出身の建築家レンゾ・ピアノは毎日こんな景色を見ながら設計しているのかなあ。うらやましいなあ〜)
夜は裏路地にあるトラットリアで本場のジェノベーゼと海の幸三昧。これがまた最高においしい!!再び訪れてみたい街だ。

 次に訪れた雨のトリノは、一転して冬のように寒かったが、雨の古都はまた情緒があって良い。
ホテルが駅から離れていたせいもあり、歩き回っているとついに腰に来た(靴のソールが減っていて、濡れた石畳で何度も転けそうになった)。その後の移動はトラムとバスにし、街の中心へと向かった。
 食の都トリノはスローフード発祥の地である。夕方、老舗のカフェに寄り、ビールを頼むと(アペリティーボ=食前酒の意)、山盛りのつまみがついて来た。普通ならこれで十分夕食になる量だが、こちらの人はその後のんびりと夕食を取り、夜遅くまでカフェで話をしているのだから、まさにスローフード=スローライフ。トリノの人々は、実に贅沢な一日を過ごしているように感じた。
 かつて首都であったトリノは、王宮やエジプト美術館、映画博物館など見所満載。フィアットの本拠地ということもあり、カーデザインの本場でもある。よって自動車の博物館を訪れ、美しい名車の数々を目の前で見れた事も印象に残っている。

 モダンデザインが主のサローネを離れ、イタリアの古い街並を歩いていると、生活の中に「ずっと変わらないもの」「変える必要のないもの」が溢れているように感じた。街の建築のほとんどがアンティークと言えるし、内装が100年変わっていない老舗のカフェもある。美術品のみではなく、ファサードの装飾や古い家具などを見れば、イタリアには高度な職人の技が残っているのだろう。古いモノの中には壊れて使えないものもあるが、そのうち直せば良いという感じで、その朽ち具合がまた絵になる。町中にはアンティークのお店も多く、非常に高価なものもあったが、直しながらこの先もずっと使い続けることができ、それがまた街の中に溶け込んでいくと思えば、納得できるだろう。

 このように建築を含めて不変なものが溢れ、またそれを使い続けるという文化があって、その中に突然モダンなものが「スパッ」と挿入されるから、その対比が新鮮で実に様になる。モダン一辺倒ではなく、過去と現在がうまく融合しているインテリアは、実に心地良いものがある。
 かつてはモダンだったモノの中で、今も生き続けるモノ達。モダンの中からまた不変なモノが生まれていく。このような空間に自分のデザインしたモノを置いてみたら、どのように見えるのだろうか?置いてみたいという気持ちが次第に強くなっていくのを感じた。

 その後またミラノに戻り、作品の撤収作業を行った。来年は是非自分の作品を持って訪れてみたいと思う。

 余談だが、今回訪れた街でスターバックスは一件も見なかった。今週から始まるICFF(NY)では、(WIFIを使用するために)毎日寄る事になるだろうなあ〜。

 という訳で、イタリアでの想いを胸にNYへ向かう。そして思う存分、自分の作品への想いを語りたいと思っている。