JAPAN CREATION
2009.8.18
足つぼマッサージの痛さがいまだに残る今日この頃。
お盆休みの13〜16日まで日本橋三越で行われていた「JAPAN CREATION WEEK」を見に出かけた。これは世界で活躍する日本人クリエイターや新しい日本の技術を紹介するイベントであり、ファッション、家具、インテリア用品、工業製品、工芸品に至るまで、幅広いジャンルの商品が各フロアーに展示されており、多くの人々で賑わっていた。
そして予想通り刺激的だったのが、中央吹き抜けで行われていたKEN OKUYAMAコレクションの数々であり、デザイナーの奥山清行氏の作品が一同に揃う中、御本人を迎えた対談を聞くことができた。
「世界3大スポーツカー(フェラーリ/ポルシェ/コルベット)をデザインした唯一のデザイナー」として、奥山氏のカーデザイナーとしての華々しい経歴は、今やTV等を通して多く知られている。そして独立後、故郷の山形に拠点を置きながら、東京/ニューヨーク/トリノに事務所を持ち、自動車、家具、眼鏡、鉄瓶、カーペット、時計などのプロダクトからインテリアデザイン、モニュメント、映画等のエンターテインメント関係のデザイン、テーマパークのプランニングに至るまで、デザインの巾は増々広がっている。
このことに関して奥山氏は「最も生産者に近い場所と最もお客さんに近い場所ということで、自然にこうなった」とさらっと述べる。そして「削ぎ落すことで、性能と美しさを増すという文化を持つ日本でしか作れないモノがたくさんある」ということを自身の作品を通して説明し、日本の新しい技術や素材開発力、そして職人技の成せるきめ細やかなモノ作りを賞賛しつつ、一方でこれらは「近くにいると意外と気付かない」と指摘されていたことが印象的だった。
わずか30分という短い質問形式の対談であったが、とても内容の濃い話に聞き入ってしまった。「世界のブランドは顧客と非常に近い立場にあり、その厳しい注文に耳を傾け、また応えることで信頼を作っている」という奥山氏。「今はお客さんと直接話すことが楽しくて、またそこからのフィードバックが次のデザインに活きる」とのこと。説得力のある言葉の数々に多くの人が頷いていた。
私が訪れた8/15日は終戦記念日であり、奥山氏のデザインした椅子「ORIZURU」のモックアップがまさに折り鶴のように天井から吊り下げられていたのも印象的であった。ちなみに「ORIZURU」は昨年のメゾン・オブジェやミラノサローネでも話題になっており、先日訪れたニューヨークの「JAPAN BY DESIGN」でも展示されていた。実は私も「ORIZURU」を愛用するファンの一人であり、背のソフトなクッション性と450kgもの重さに耐えるという成形合板による折り構造の美しさに惚れ込んでいる。このような優れたデザインのモノを使用することは日々の刺激となり、自分に足りないものを身をもって感じることができる。これはとても意味のあることだと感じている。
来月から展示会が続くので、お盆休み返上で準備をしていると、ある国際コンペに作品が入賞したとの連絡があり、現地での展示が決まった。先日訪れたメーカーの表面加工を試す良い機会と思い、加工をお願いする予定。どのような雰囲気になるのか、とても楽しみだ。
(追記:対談終了後にサイン会があり、奥山氏の著書「創造の1/10000」にサインを頂きながら「来月の大阪の展示会に僕も出展します」と奥山氏に伝えたところ、「大阪でまた会いましょう」と笑顔で握手をして頂き、感激の一日であった…………)